1950年台に、スウェーデンのイエテボリ大学のブローネンマルク先生が、チタンと骨が骨結合(オッセオインテグレーション)することを歯科に応用し、現代のオッセオインテグレーテッドインプラントが飛躍的に進歩しました。当時は、無歯顎(歯が無い状態)の方に適応しておりましたが、現在では部分無歯顎(部分的に歯がない状態)でも、インプラントは適応が可能です。
インプラントを植立し、その上に差し歯のように歯を作ることで、ご自分の歯と同じようにお食事をすることができます。また、見た目も比較的自然で、治療に対する満足度はかなり高いです。
残念ながら歯を失くされてしまった部位に、歯を作る治療には3つの治療方法があります。インプラント、ブリッジ、義歯(入れ歯)です。それぞれの特徴を見て行きましょう。
診査・診断・治療計画の質を高く保たなくては、その後の治療をどれだけ頑張っても、良い結果は望めません。CTや全顎的な診断に基づく診断が必要です。ただ単に歯がないからインプラント治療を行うのではなく、その他の治療も含めてどのようにすればお口の中の全体的な機能を保つことができるかを総合的に判断いたします。
非荷重安静期間(インプラントを粘膜下に入れたまま安静にする期間。症例により異なりますが、通常は3ヶ月~6ヶ月程度)の後に、小さな手術でインプラントの頭出しをします。術中には、粘膜の下に隠れていたインプラントにボタンのような形のヒーリングアバットメントと言われる装置を付けます。
2次手術後、通常2~1ヶ月程度で型取りを行います。その後に、インプラント上部の構造体(人口の歯)を作成します。作成には、2週間~1ヶ月程度かかります。※上記期間・治療手順は、全体的な治療計画により異なる場合があります。詳しくは、治療計画のご相談時にご説明いたします。
当院は、主にアストラテックインプラントを使用しております。2014年現在、50以上ものインプラントシステム中で、アストラテックインプラントは世界シェアが3本の指に入る実績あるインプラントシステムです。アストラテックインプラントは、現代インプラントであるオッセオインテグレーテッドインプラントの発祥の地(スウェーデン)で制作されています。世界的に多数のアストラテックインプラントにおける論文報告がみられ、研究も進んでいます。
アストラテックインプラントの特徴は、インプラント周囲の骨吸収が非常に少ないということです。東京での勤務医時代にもアストラテックインプラントを数多くの患者様に使用しておりましたが、この数字は私の臨床的実感とも相違ありません。インプラント治療においては、骨とのオッセオインテグレーションと言われる結合によって維持されますので、周囲骨がより温存されることは大変大きなメリットであると考えております。
インプラント治療を行う際には、インプラントを支える充分な骨が必要となります。しかしながら、全ての患者様に充分な骨が有るわけでは有りません。骨量が不足している場合には、骨を造成する必要性があります。骨造成術には、GBR法や上顎洞挙上術(Sinus Lift)があります。
GBR法とは、歯が欠損している部分に特殊な膜を用いて粘膜の下にスペースを確保し、骨を作る治療方法です。主に、インプラントを行う際に骨が足りない時に行います。実はこれは、歯周病学の専門的治療の再生療法(GTR法)を応用した治療方法なのです。インプラントを行う際に、どうしても骨を作る必要がある時に行う術式です。
上顎洞とは、鼻腔の一種で、上の奥歯の根の先の部分にある空洞のことです。この部分には骨が無いために、インプラントをする際には骨をつくらなくてはならないことがあります。その際に行われるのが上顎洞挙上術です。上顎洞挙上術は、「歯槽頂アプローチ」と「側方アプローチ」の2つの術式に大別されます。
上顎洞までの骨の高さが、ある程度ある場合に行います。非常に低浸襲で処置時間も短く、インプラントを同時に埋入することがほとんどです。治療期間も短く、通常のインプラント治療とほとんど変わりませんが、出来上がる骨の量は限られているため、症例により適応外となることが有ります。
上顎洞の側壁から上顎洞内にアプローチをする治療方法で、治療後には痛みや腫れを伴いやすいという欠点があります。骨造成する事ができる範囲・量が、歯槽頂アプローチよりも多いことが利点です。
歯を支えていた組織は、歯を失った時から必ず萎縮してしまいます。より自然な歯茎の元にインプラントを植立することを患者様が望まれた場合、吸収してしまった歯茎を造成する必要性が有ります。
造成する方法には、主に2種類があります。骨造成と軟組織造成です。症例によっては、両方を行わないと審美的な回復が困難な場合もありますが、できれば小さな処置で済ませられることを患者様はお望みになるものだと思います。
軟組織造成は、骨造成に比べて侵襲が小さくて済むという特徴があります。また、インプラント治療を進める過程で、軟組織造成を行うことができるタイミングは、骨造成よりも豊富です。
インプラント周囲の軟組織造成は、歯周病学の専門分野の一つであるソフトティシューマネージメントを応用したものです。当院ではインプラントをただ機能させるだけではなく、患者様の御希望によって歯茎も元の状態に近づける処置も行なっております。
歯周病学専門治療のロール法により、歯肉の厚みが改善されました。
当院では、患者様の治療が終了した後も安心して引き続き快適な生活を送っていただく為に、インプラント体5年保障、被せ物(上部構造)5年保障のインプラント保証制度を設けております。保証期間中における通常使用で破損や脱落などが生じた場合、当医院において無料にて修理・再埋入・再装着・再製作などをさせて頂きます。ただし、下記の場合には保証期間中であっても、一部または全部が有料となる場合があります。
インプラント治療は、専門的な定期検診・メンテナンスによってその効果を最大限に発揮することができます。従って、この保証システムは、患者様に定期検診・メンテナンスを受けていただくことが条件となっております。当院は、患者様と歯科医師・歯科衛生士が互いに協力して口腔内の維持向上を目指しており、術後も患者様のお力添えをすることができますようシステムを整えておりますので、是非ともご活用下さい。
様々な骨造成を行い、インプラント治療を行なった症例をご紹介します。
インプラント・義歯を始めとする歯科治療のほとんどが医療費控除の対象となります。医療費控除とは、医療費を支払った場合(本人および生計を一つにする配偶者・親族も適応)に、一定の金額の所得控除を受け所得税が低減することができるというものです。
対象となる医療費は本人、本人と生計を一にする(お財布が一緒という意味です)家族のために、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払ったものです。未払いのものは請求書があっても対象とならないので注意してください。
医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を提出してください。医療費控除は年末調整では受けられないので、サラリーマンの方でも確定申告が必要です。その際、医療費の支出を証明する書類、たとえば、領収書などについては、確定申告書に添付するか、提示することが必要です。また、給与所得のある方は、このほかに源泉徴収票(原本)も必要です。
※ご夫婦共働きの場合には、所得税率が高いほう(所得の多い方)から控除したほうが得になります。
所得税率が同じ場合は、どちらかの所得が200万円以下であればその人が控除を受けたほうが得になります。
鮮明なレントゲン写真を小さい範囲で撮影することができます。デジタル化されたレントゲンシステムを採用しており、被ばく線量は従来のフイルムレントゲン写真の僅か1/10程度です。照射する線量をなるべく抑える事ができ、デジタル化されているためフイルムの劣化も起こらず、患者様の大事な資料を末永く保存することが可能です。
また、IP(イメージングプレート)と言われる柔らかく小さなプレートをお口の中に入れて撮影します。同じデジタルレントゲン写真でも、硬いCCDセンサーをお口の中に入れる撮影方法よりも患者様の不快症状が少なくて済む装置です。
パノラマレントゲンはフイルムをお口の中に入れて撮影するレントゲン写真ほど鮮明ではないものの、撮影範囲が広いという利点が有ります。フイルムが入らない部分も撮影できます。また、お口の中にフイルムを入れる必要性が無いため、患者様の不快症状がほとんどない撮影方法です。また、こちらもデジタル化されており、従来のパノラマレントゲン写真に比べて、被ばく線量は1/10程度です。
今までのレントゲン写真は、3次元(立体的)な患者様のお身体を、2次元のフイルムに置き換えるため、いわゆる影絵のような状態で、奥行きがわからないという欠点があります。CTでは、お身体の状態を断層で診ることができるので、情報量が格段に多くなります。
歯科で採用されているレントゲンの中では、X線の照射線量が多いことが欠点に挙げられますが、一般的な医科用CTと比較して照射線量が少なく断層の幅が小さいため、細かい構造物を認識することができます。
全ての患者様の治療に必要なわけでは有りませんが、インプラント治療を行う際には、必ずCT撮影により3次元的に治療部位を診査しております。
歯周炎の診査では通常のレントゲン写真では骨の欠損の形態を3次元的に把握できることで、歯周組織再生療法や歯周病が進行している奥歯の分岐部病変についての診断を正確に行えるようになります。
根管治療の際には、通常ではなかなか見つからない歯の中の神経の管(根管)を見つけられることことが有り、治療の精度向上に役立ちます。下顎の智歯(親知らず)が歯茎の中に埋もれている場合には、智歯の根の先と下顎骨の中にある下歯槽神経の距離が近いことが有り、事前に危険度をより正確に把握することができます。
正確な診査がより良い治療結果をもたらしますので、いざという時に精査することができる環境を整えております。
※歯科用CT撮影は、必要だと判断する場合にのみ行いますので、全ての患者様に用いるわけでは有りません。
※撮影の際には必要性についての説明と同意の確認、保険適応の有無についてご説明いたしますのでご安心下さい。
歯科用CTの被ばく線量は約0.1mSvです。これは、東京—ニューヨークの往復飛行の約半分、胃のX線検査の1/6程度です。また、日本での1年間の自然放射線量(通常の生活をしているだけで年間に浴びる放射線量)は一人当たり平均約1.5mSvで、歯科用CT撮影時のおよそ15倍の放射線を自然に生活しているだけで浴びていることになります。
放射線を不要に浴びることはさけるべきですが、CTを撮影することにより正確な診断につながることが沢山あります。歯科用CTを撮影する際には、必要性を充分に吟味してご案内いたしますのでどうぞご安心下さい。